蔦温泉から八甲田山方面に車で10分ほど行った所に谷地温泉はあります。蔦温泉から谷地温泉までの道は均一に整ったブナ林が広がっています。私が最近行ったのは5月の末でしたが、太陽のあたった新緑の葉が鮮やかな黄緑の蛍光色になっていて、とてもきれいでした(^o^)。
駐車場に着いて車から降りると、し〜んとした周囲の森林一帯にカッコウの鳴き声が響いていました。谷地温泉の旅館の前には小さな展望台があって、そこから谷地湿原を見渡せます。手前の方には水芭蕉も咲いていました。谷地温泉は瀬戸内寂聴氏が「源氏物語」を書いた場所でもあり、寂聴氏がこの展望台に立っている写真が館内に飾ってありました。
玄関の横に食堂兼無料休憩所があって、お茶や水が用意されています。入口横には小さな売店があって、そこの自販機で入浴券を買って売店のレジに出します。スリッパに履き替えて、木造の本館の廊下を奥に進むと、西館と男女別のお風呂があります。もし宿泊するなら、本館1階はお風呂に行く人でうるさいので、本館の2階(写真右)か西館がお勧めです。
谷地温泉のお風呂はこじんまりとしているので、観光バスで団体さんが来ると、あっという間にすし詰め状態になってしまいます^_^;。浴室は湯船の底から高い天井まで全て木造で、コンクリートやタイル、岩などは一切ありません。天井あたりの木は黒ずんでいて、かなり昔からある雰囲気です。これぞ秘湯!というお風呂です。
浴室には、無色透明のかなりぬるいお湯の湯船と、硫黄臭の強い白濁した熱いお湯の湯船の2つがあります。透明のお湯はかなりぬるく、いくら入ってものぼせないくらいの温度でした。入浴の仕方が壁に書いてあって、それによるとぬるい方に30分から1時間程入り、最後に熱いほうに5分から10分入るとよいということでした。透明なお湯のほうの湯船は底から源泉が出ていて、小さな泡がプクプクと上がってきています。
ぬるい湯船と熱めのゆぶねの間には、なぜかついたてが立っています。ついたての所の床に小さな木のふたがあって、それをあけると飲料用のお湯が見えました(流れているのかな?)。
浴室の一番奥には洗い場が4つほどあってお湯も水も出るし、シャンプーやボディソープもあります。その横には木の湯箱があって、ぬるい源泉が注ぎ込まれていました。掛け湯のようですが、私はそのお湯で体の泡を落としました。
谷地温泉は、今では珍しく手の加えられていない、情緒たっぷりの秘湯です。
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