玉川温泉

 アスピーテラインと国道341号の丁字路から田沢湖方面に12km南下した所に、玉川温泉があります。ここの温泉は癌に効く(場合もある)といわれ、全国からたくさんの患者さんが来ています。以前行った時には、駐車場にもテントを張って車に寝泊りをしている人もいましたが、今回行ったら旅館の少し上にある大きな駐車場(無料)は8時30分から18時までの利用となっていて、それ以外の時間には車を置けないようになっていました(秋や春先は17時まで)。そのようにしないと、日帰りのお客さんが車を置く所がなくなってしまうので、仕方がないのでしょう。宿泊客や観光バスは、宿の前まで道をくだって行き、宿のすぐ前に車を置くことが出来ます。係りの人が5,6人いて交通整理やチェックなどをしているので、日帰りの人が宿の前まで下りていって車を置くことはできません。

 大きな無料駐車場から階段を下りて少し行くと、自然研究路の入口があります(写真上段左)。恐山のような白い地肌の丘陵地帯で、その中を1周(約30分)するように遊歩道が設けられています。途中には、大噴と呼ばれる玉川温泉の源泉が噴出している所があり、すごい勢いでお湯がブクブクと吹き出ています(写真下段左)。そこから川のようにお湯が旅館のほうへ向かって流れていますが、途中に湯畑があって、毒々しい黄色やオレンジ色などの液体が横のほうに流れています。温泉水や土砂にもわずかに放射能が含まれています。ここで余計なものは沈殿され、うわずみの透明なお湯が湯船に注がれます。
 他に、北投石と呼ばれる放射性を有する岩があったり、ゴーッとすごい音を轟かせながら水蒸気や硫化水素ガスを吹き上げている噴気孔があちこちにあったりします。ガスで鳥や人もなくなったことがあるので気をつけるように!との看板があり、遊歩道を歩いている時に大量の煙が向かって来た時には、一応息を止めて走り抜けました(湯気か水蒸気か硫化水素かよくわからないので…。でも走っているのは私だけでした^_^;)。

       

       




 このあたり一帯は地熱で地面が暖かく、わずかに放射能が出ているため、多くの人がゴザを敷いて横になっています。その中に露天風呂がありますが、周囲には寝ている人や遊歩道を歩いている人がたくさんいるので、さすがに誰も入っていませんでした。特に脱衣所はなく、服を置く棚があるだけなので、入浴は困難です(>_<)。
 変な色の液が出るような強酸性のお湯に浸かったり飲んだり、あるいはラジウムや放射能を浴びながら岩盤浴をしていると、確かに癌がよくなっていく人も中にはいるのかもしれないと思えてきます。
             



 自然研究路の入口を通り過ぎて50m程行くと、玉川温泉の建物があります。大きな売店や大浴場、診療所、大食堂、湯治棟、宿泊棟など、大きな建物がいくつも建っています。売店では、長く滞在する人のために、野菜や調味料、日用品なども置いています。観光バスも次々にやって来て、多くの人たちでにぎわっています。
           



 大浴場は木造で天井が高く、大きさは学校の体育館位あります。以前は混浴だったようですが、今は中央に仕切りがあり、完全に男女別になっています。そこに6つ位の湯船があって、源泉(100%)の湯、50%の湯、温め、熱め、ジャグジー、寝湯、打たせ湯などいろいろなお風呂があります。飲泉コーナーもあり、2倍に薄められたものが出てきますが、それをさらに自分で薄めて飲みます。洗い場も木造で、1つ1つ木の板で仕切られていました(シャンプー、ソープ完備)。
 はじめ、50%のお湯(源泉を半分に薄めたお湯)に入ってみたら、体のあちこちがしみるようにピリピリ痛くなりました。肌が弱っている所や最近ポリポリかいてしまった所が痛くなるようです。次に源泉の湯に入ってみたら、しみて痛い所が倍くらいに増えました。こちらはほんの少し皮膚が弱っていてもしみるようです。源泉をなめてみたら強烈にすっぱく、むせるようでした。なめた後も唇がしばらくひりひり痛かったです。粘膜にもしみるようです。ここのお湯を例えれば、「透明なレモン汁を数倍濃くした液」といえばよいでしょうか。これを飲んでいれば、体に何らかの影響が出るかもしれない(病気が改善するかも?)と思いました。お湯は透明、無臭で、PHが1.2という日本一の強酸性です。

 以前は玉川温泉1軒しかありませんでしたが、車で2.6km南下した所に、玉川温泉の源泉を引いた「新玉川温泉」と「湯治館そよ風」が新しくできました。どちらも日帰り入浴ができるようでしたので行ってみたら、「新玉川温泉」のほうは日帰り入浴はお断りしているとのことでした(平成18年6月現在)。
「そよ風」は山の中の旅館とは思えないようなホテル風の素敵な建物です。お風呂は玉川温泉の浴室の半分位の大きさですが、天井が高く重厚で立派な雰囲気です。やはり源泉の湯や50%の湯、ジャグジー、打たせ湯、寝湯、蒸し風呂などがあります。飲泉所では源泉が出てくるので、それを自分で10倍に薄めて飲むようになっています。
 こちらには昔からある玉川温泉の宿の雰囲気はまったくありませんが、自然研究路は見なくてもいいので、とにかく新しくてきれいなお風呂に入りたいという方は、こちらをお勧めします。
      



 玉川温泉は泉質が強烈で、強酸性らしいキリッとした清らかさ(厳粛さ?)が浴室内にあります(実際強い殺菌作用があります)。みんな無言で透明の強酸性に浸かっていて、湯煙のたちこめる中でのんびり和やかな雰囲気でお湯を楽しむといった一般的な温泉とは違う雰囲気です。本来、人が入るのには向かないような強烈なお湯だけれども、特に毒もないので無理をして温泉にしているといった感じのお湯です。リラックスを求めに行くのではなく、何らかの病気を治すために行くような、他の温泉とは一線を画した温泉でした。
 玉川温泉から田沢湖までは43kmあり、道は単調で長く感じます。