世界遺産 平泉(毛越寺・中尊寺)
平成23年,毛越寺や中尊寺,観自在王院址,無量光院跡など,
平泉に点在している歴史的文化遺産が「世界遺産」に登録されました!
平泉駅に降りると整備された道がまっすぐに延びていて、その突き当たりに特別史跡「毛越寺(もうつうじ)」があります。平安時代の浄土庭園(写真上段右)などが現存しています。
庭園の中心には「大泉が池」があって、当時はここの中央に橋がかかっていたそうです。池には、海岸の砂浜を表現した優美な入り江、荒磯を表した出島、浪返しの立石などがあり、それらがみごとに調和されている美しい庭です。
当時は、池の周囲に壮麗な伽藍や講堂、回廊などがありましたが、現在は礎石だけが残っています。平安時代の完全な遺構としては日本唯一の「遣水」が残っています(写真下段左)。川底には玉石が敷きつめられていて、きれいに蛇行しながら大泉が池まで流れています。年に1度「曲水の宴」といって、当時の美しい着物を着た人達が和歌を短冊に書いて盃に乗せ、遣水に浮かべて流すという優美な祭りも行われています。
常行堂(写真下段右)の横にある鐘楼は、木片に願いことを書き、それを奉納して(横に置いて)、1回だけつくことができます(1回500円)。渋くて情緒ある鐘の音が、静かな浄土の世界に広がります。鐘に何の興味もない私も、「いい音だなあ。」と思いました。
浄土庭園の横には、平安時代の月光両菩薩を安置している本堂があります(本堂自体は最近造られました)。
平泉駅から毛越寺までは歩いて15分位です。車でしたら、毛越寺のすぐ横に町営の大きな有料駐車場があります(1回300円)。駐車すると、近くにある中尊寺の駐車場割引券をくれます(400円が300円になります)。
毛越寺のすぐ前には観自在王院址があって、当時は立派な伽藍や池がありましたが、現在は広い芝生になっています。
毛越寺に車を置いて中尊寺まで歩いて行くのは、思った以上に大変です。毛越寺を見学した後、毛越寺と中尊寺の間(片道1、6km)を往復歩くことや中尊寺の入り口から奥の金色堂までの月見坂を往復(片道800m)歩くことを考えると、中尊寺までは車かバス、レンタサイクル等で移動をするのがいいと思います。
駐車場は、毛越寺、中尊寺共にとても広く、春の藤原祭りやお正月以外で満杯になることはまずないので、車の置き場所の心配はありません。平泉駅構内にはレンタサイクル、駅前には電動レンタサイクルがあります。
毛越寺から車で5分程の所に、「中尊寺」があります。大河ドラマの影響もあって、観光バスが次々にやってきていました。お土産屋さんが立ち並び、一大観光地になっています。
入り口から、「月見坂」という杉の大木に覆われた坂道が続きます(冬は雪があるので滑って恐い感じです。冬に行かれる方は靴に気をつけたほうがいいです)。その両側の所々に、「大日堂」や「地蔵堂」といった、お堂とお守りなどを売っている小さな売店がセットになったような所が、10ヶ所位あります。今一番人気のある「弁慶堂」の展望台からは、「夏草や〜」で有名な夢の跡が見えます(写真上段左)。
そこからさらに坂を上っていくと、850年に開かれた天台宗東北大本山中尊寺本堂があります(写真上段右)。そして、坂を上りきった所に、「五月雨の〜」で有名な国宝金色堂があります(写真下段左)。
中尊寺駐車場(月見坂の入り口)から金色堂までの所要時間は、いくつかお堂を見ながらゆっくり歩いて40〜50分位です。金色堂は覆いがされているので、外から見ることはできません。入場料を払い、覆いの建物の中に入ると、金色に光る壮麗な金色堂があります。柱は漆塗りで、光る貝殻を使って細かく装飾が施されています。この金色堂の下に藤原三代のミイラが眠っています。
金色堂からさらに5分程奥に行くと、延年の舞や薪能などで有名な「能楽堂」があります(写真下段右)。全て木造で、歴史と格式の高さを感じさせる建物です。今年も野村萬斎さんがいらして舞を披露しました。
平泉駅から厳美渓に行く場合、4号線→一ノ関経由だと遠回りになるので、毛越寺の前の道を向かって左(南)に行くと15分位で着きます。途中、「達谷窟毘沙門堂」も通ります。
厳美渓は、約2kmにわたって川の両側に切り立った大きな岩が続いている渓谷で、岩にぶつかり蛇行しながら川が流れています。国の名勝・天然記念物に指定されています。
一周30分位の遊歩道があり、その途中にあずま屋が3ヶ所ほどあります。駐車場の近くに、対岸のお団子屋さんからロープをつたってお団子がやってくる「かっこうだんご」というものがあります。有名なので観光客がたくさんいました。
駐車場は近くに2、3ヶ所あって、どこも1回300円です。
同じく県南に似たような名前の「猊鼻渓」(げいびけい)という舟下りのできる渓谷がありますが,そちらに比べると厳美渓はかなり小規模で,ちょっとした寄り道どころといった感じです。平泉の観光でお時間の余る方は寄ってみてもいいかもしれません。